週に3日、コールセンターで副業デビューした後輩のF君から、「バイト先の社会保険に強制加入させられそうなんで助けてください!」と連絡がありました。
聞けば「どうせ副業するなら稼げるだけ稼ぎたい」って考えたF君、欲張りすぎてほぼすべての空き時間勤務できるようにシフト希望したところ、職場の偉いさんから社会保険に入るよう言われたらしい。
ここでおさらいをしておきましょう。
社会保険とは、健康保険・介護保険・年金保険・雇用保険・労災保険の5つの総称です。
このうち、雇用保険は本業、副業での重複加入ができないため、一般的には給与が多い方の企業でのみ、加入します。
労災保険は両企業で加入しますが、保険料は全額事業主負担です。
したがって、副業をすることで本人の保険料負担が増える可能性があるのは、厚生年金と健康保険、介護保険、ということになります。
本業で会社勤めをしているF君はそちらの方で社会保険に加入しているので、副業の方での加入は給料から引かれる金額が増える要因になるだけなのでぜひとも避けたいところ。
保険料の支払いが発生すると、F君が懸念するようにせっかく自分の貴重な時間を削って働いているにも関わらず、手取り収入が減ってしまうことになります。
そこで今回は、社会保険に入らずに働きたい場合、年収はいくらまでに抑えればよいのかを、出来るだけわかりやすくお伝えします。
F君のようにダブルワークの場合や、パート・フリーターなどの社会人の場合は、通称106万円の壁を超えないように注意する必要があります。
以下の要件1~5をすべて満たすと社会保険に加入して保険料を支払うことになりますので、勤務時間や勤務期間、会社規模などの条件が当てはまる人は、1ヵ月の給料を88,000円(=年収約106万円)未満に抑える必要があります。
社会保険の加入要件1~5
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 勤務期間が継続して1年以上見込まれること
- 月額賃金が88,000円 (年収約106万円)以上であること
※以下は1ヶ月の賃金から除外できる。
・臨時に支払われる賃金や1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:結婚手当、賞与等)
・時間外労働、休日労働および深夜労働に対して支払われる賃金(例:割増賃金等)
・最低賃金法で算入しないことを定める賃金(例:精皆勤手当、通勤手当、家族手当) - 学生でないこと
ただし、下記にあてはまる学生は除きます。
・卒業見込証明書を有する方で、卒業前に就職し卒業後も引き続き同じ事業所に勤務する予定の方
・休学中の方
・大学の夜間学部および高等学校の夜間等の定時制の課程の方等 - 勤務先の従業員が501人以上(厚生年金の被保険者数)の企業であるか、500人以下の企業で労使協定により社会保険加入が合意されている場合
※2022年10月からは101人以上、2024年10月からは51人以上と、多くの会社が対象となります。 また勤務期間についても2022年10月以降は2ヵ月以上働くことが見込まれる人から対象に含まれるようになります。
ちなみに学生の方や上記の5条件に当てはまらない人でも、1週間に働く時間と1ヵ月に働く日数の両方が、正社員の3/4以上シフトが入っている場合は、勤務先の社会保険への加入義務が生じます。
例えば、勤務先の正社員の1週間の所定労働時間が40時間で週休2日(1ヵ月22日出勤)の会社の場合は、週30時間以上、月16.5日以上働くと社会保険の加入条件を満たすことになります。
逆に言えば週30時間未満または月16.5日未満なら社会保険に加入せずにすむということです。
国が決めたことって必要以上にわかりにくくなっていますが、F君のようなダブルワークや主婦の方のパートで勤務先の社会保険に加入したくない場合、
上記5要件のうち1つでも欠けたら強制加入から外れますので、それを踏まえて勤務シフトの調整をすればいいということです。
F君にはわかりやすく、「月収88,000円を超えない」とだけ覚えてもらうようにしました。
では超えてしまった場合はどうなるのか。
次回は超えてしまった場合のリスクや、社会保険に加入するメリット・デメリットについてお話しましょう。