こんちには。
有藤百俊です。
これまでお伝えしてきたとおり、インボイス制度開始後は、
適格請求書発行事業者である方が仕事を獲得しやすく、
適格請求書発行事業者以外の事業者は不利な状況に陥ることが考えられます。
適格請求書発行事業者に登録することが出来るのは、課税事業者のみです。
つまり、X氏のような免税事業者は適格請求書発行事業者に登録することが出来ず、
仕事が獲得しにくい不利な状況になりやすいことが予想されます。
綺麗ごとを言ってしまえば、「A印刷にとって代わりのいないデザイナーになる!」ことが
最善の結論です。
取引先にとって「この人になら控除を受けられなくったって一緒に仕事がしたい!」と思ってもらえれば、
仕事がなくなることもないでしょう。
もっともそんな事業者なら価格競争に巻き込まれることもなく、仕事を選べる状態でしょうから
そもそもインボイス程度では悩んですらいないでしょう。
もちろんそうなれば最高ですし、僕を含むすべての事業者がそこを目指しているといってもいいと思います。
でもそんな夢を描いている間にも刻々と期限は迫ってきています。
僕は顧問として、X氏には課税事業者になり、
適格請求書発行事業者に登録する選択を勧めています。
先に言った理想像は、フリーランスや小規模事業者であればいわば当たり前に追い求める姿です。
こんな制度があろうがなかろうが、他社との差別化を図り自社のスキルやサービスをブラッシュアップしていくことは、全事業者の共通認識と思われます。
そうして頑張った結果、売上が1,000万円を超えてしまうことのほうが遥かに現実的だと思うからです。
そうなれば否応無く課税事業者です。
消費税を納税する義務も生じますし、適格請求書を発行する事業者にもなります。
あれこれ考えると複雑ですし答えなんて恐らく永遠に出ません。
何とか捻り出したとしても、そちらの選択で正しかったのかその後も悩むことと思います。
それならもっとシンプルに考えるべきだというのが僕の提案です。
課税事業者になって適格請求書発行事業者に登録し、
その選択が間違っていなかったことを照明する為に
売上1,000万円を超えて正真正銘の課税事業者になればいいのです。
もちろんその為に、僕も顧問としてX氏を一所懸命サポートします。
本稿執筆時点で、X氏はまだ思案中です。
A印刷との関係性もありますから、交渉次第で有利な条件を引き出せる可能性もおおいにあります。
幸い適格請求書発行事業者への登録申請期限が2023年の9月30日まで延期されました。
じっくり検討して、後悔の無い選択をして欲しいものです。
こういった事案はそれぞれの事業者にとって事情が異なりますから、
どれが正解といったモデルケースがないのがさらに悩ましくする原因のひとつです。
今回のX氏のケースが少しでも参考になれば嬉しく思います。