前回【バイト先の社会保険に入らずに済む年収っていくら?】でお話したとおり、社会保険の加入条件を満たせば「社会保険に入りたくない!」と駄々をこねても加入しないといけなくなります。
ですが繁忙期など、特定の期間についてアルバイトやパート等の週の所定労働時間が20時間を超えて定められている場合については除外されます。
また、契約上の所定労働時間が週20時間未満でも、たまたま20時間を超えたり超えなかったりしたからといって、すぐに保険に加入したり資格を喪失するわけではありません。
例えば社会保険に加入している方が、ひと月だけ月額88,000円を下回ったからといってすぐに社会保険から抜けないといけないなんてことはありません。
では連続した場合はどうなるのでしょう。
2ヵ月連続で月額88,000円を超え、これからもそれが続くと見込まれる場合には、3ヵ月目から社会保険に加入することになるので気をつけてください。
労働日数と労働時間が3/4以上になる場合も同様です。
契約上の労働時間と労働日数が3/4未満でも、2ヵ月連続で実際の労働時間・労働日数が3/4以上になり、それが続くと見込まれる場合には3ヵ月目から社会保険に加入することになります。
そうなると、もし社会保険への加入条件を満たしているのに入らなかった場合、いったいどうなるのか気になりますよね。
そうです。しっかりペナルティがあります。笑
そもそも事業主は、条件を満たした従業員を社会保険に加入させる義務があります。
加入条件を満たしているのに、勤務先の社会保険にわざと入らないようにしているのが発覚すると、事業主と従業員それぞれにペナルティ(罰則)が与えられます。
与えられるペナルティは以下のとおりです。
◆事業主に対する罰則(健康保険法第208条)
6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
※被保険者の資格の取得などを保険者に届出をせず、または虚偽の届出をしたとき。
◆事業主以外に対する罰則(健康保険法第209条)
6月以下の懲役又は30万円以下の罰金
※立入検査時に検査を拒んだりしたとき。
また、社会保険に加入したときのメリットとデメリットについてはどうでしょうか。
まずメリットについてですが、老後に受け取れる年金額が増えます。
厚生年金保険に加入することになりますので、国民年金から将来受け取れる基礎年金の額に、在職中に支払った厚生年金の保険料に応じた金額を上乗せしてもらうことができます。
また、厚生年金保険の加入期間が長い分だけ、将来上乗せされる年金の額も増えます。
まぁ年金についてはそのうち詳しくお話ししますので、今は漠然と「増えるんだぁ」ぐらいに覚えておいてください。
他には、手厚い保障制度を受けられることも大きなメリットと言えます。
例えば、けがや病気を理由に3日間連続でパートを休まないといけない場合、給与の支払いを受けられないなどの条件を満たせば、4日目以降に傷病手当金の受給が可能です。
また出産手当金や出産育児一時金なども、要件を満たしていればパートにだって支給されます。
あとは自営業や個人事業主などの場合、国民健康保険と国民年金は全額自分で支払う必要があるので、ダブルワークのアルバイト先の社会保険に加入した方が少ない自己負担で済む可能性があります。
厚生年金保険料と健康保険(協会けんぽ等)の健康保険料は、労働者側と雇用者側が原則として折半して支払います。
そのため、社会保険に加入すれば、支払うべき保険料の半分を企業が負担してくれることになるからです。
次にデメリットですが、これはもう何と言っても手取り収入が減る!これにつきます。
以上のメリット・デメリットを考慮したうえで、F君はいったいどうしたか。
彼は結果として、加入しない決断をしました。
せっかく働いたのに手取り収入が減ってしまうのはどうにも許せない!というのが率直な理由だそうです。
とてもいい決断だと思っていますが、次回は僕だったらどうしていたかってお話をしてみたいと思います。